JMO2020 予選第六問

 第2問に続いて平面図形(面積)からの出題です。前問までに比べると難易度は上昇しており、予選突破を目指す上では鍵となる一問です。

 実は問題文中で与えられている図は正確ではありません(定規で確認するとわかりますが、最も大きい正方形及び2番目に大きい正方形は縦横の長さが微妙に異なっています)。このため与えられた図から結果を類推することは難しくなっており、素直に適切な補助線を模索してゆくことになります。

(解答-前半)
 下図のように正方形の各頂点についてA~Iと命名する。
 まず補助線BFを書き加えると、△AGB及び△FGBは辺BGを共有し、更にAG=FG (正方形)、∠AGB=∠FGB (= 45°)であることから△AGB≡△FGBが成り立つ。
 従って三角形の合同条件からAB=BFが成立し、更にAB=BC (正方形)であることからBC=BFが成り立ち、△BCFはBC=BFを満たす二等辺三角形である。
 ここで△BCFの頂点Bから辺CFに対して垂線を下ろし、その足をJとすると二等辺三角形の性質からBJは辺CFを二等分する。一方で四角形CHFIは正方形なので対角線HIはもう一方の対角線であるCFをやはり垂直に二等分するので、4点BHIJは一直線上に存在する。

 上記のように、本問を解く上での第一手は補助線BFを書き加えて三角形の合同条件に持ち込むことです(ここで辺BGが点Eを通るという条件をうまく活用する事が出来ます)。すると2番目に大きな正方形の対角線を底辺とする二等辺三角形(△BCF)の存在が浮かびあがり、最終的に4つの点BHIJが一直線上に並ぶことが分かります。問題文の図ではこの4点は明らかに一直線上に存在しておらず、今後の議論を容易にするためにここで図を書き直します(下図も正確ではありませんが、BHIJの4点が一直線上に並ぶため見通しがかなり良くなっています)。

(解答-後半)
 前半の議論から∠ABE=∠EBF (∵ △ABG≡△FBG)及び∠FBJ=∠CBJ (∵ △BJF≡△BJC)が成り立つので∠ABC=90°と併せて、∠EBJ=∠EBF+∠FBJ=45°が成立する。よって∠GEF = ∠FHJ = 45° (∵ 正方形)であることから辺EFと辺BH、辺BEと辺HFはそれぞれ平行であり、四角形BEFHは平行四辺形である。
 平行四辺形の性質からBH = 1であり、辺FJの長さをx(>0)とおくと、HJ = xであることからBJ = x+1が成立する。ここで△FBJに対する三平方の定理及びBF = 3から、x^2+(x+1)^2 = 3^2…(*)が成立するのでこの二次方程式をx>0の範囲で解くことで x = (-1+√17)/2を得る。
 今、図の斜線部はEFを底辺、高さをFJとする三角形であるのでその面積は (1/2)*1*x = (-1+√17)/4で与えられる。

 書き直した図を眺めていると、斜線部は底辺がEF =1 で高さがFJの三角形であることが見えてきましたので、∠EBH = 45°であることを起点にそのことを示しました。最後のFJの長さの求め方は今回の方針以外にも様々な方法が考えられます。

 本問は補助線の引き方が全てといっても過言では無く、その部分をクリアしてしまえば計算量は控えめであり差が付きやすい一問です。とはいえ今年のJMO予選の合格ラインを考えると7点は欲しい所ですので、平面図形に自信がある人はある程度時間を使ってでも食らいついてゆくべきかもしれません。
 

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

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