国鉄運賃と大学入試 (1966年 東大 文理共通)

 1960年代の日本は高度経済成長の真っただ中であり、1964年には東京五輪が開催されています。一方で学力偏差値という言葉が一般化し、大学入試に対する一般大衆の関心が高まってきたのも丁度この時代と言われており、1970代以降は本格的な受験戦争の様相を呈することになります。

 とはいえ1960年代の時点では受験戦争はまだ激化しておらず、当時の問題を見るとそれ以降とは少し雰囲気が異なっています。例えば数学では、実生活と関連付けて具体的な数値を与えながら解答させる問題が当時多く出題されています。今回紹介する問題も、鉄道運賃という日常生活と関連の深いトピックとなっています(問題はhttp://server-test.net/math/tokyo/より引用させて頂きました)。

 (解答)

 特別なテクニックは必要とせず、最初に得られた不等式(1)(2)をゴリゴリと変形することでa及びbのそれぞれ範囲を絞り込みます。
 不等式の形からいきなりaを消去したくなりますが、この場合1<b<1.66…となりbの値を十分に絞り込めません。計算は面倒ですが腹を括って先にbを消去すると、aの値は不等式と0.1の整数倍という条件から1通りに定まり、最終的にbも定まります。
 不等式(1)及び(2)が表す領域をab平面に図示する方法でも求まりますが、寧ろ時間がかかります。
 四則計算こそ面倒ですが、70年代以降の入試(特に理系)と比べると平易な部類です。

 300kmを超える輸送距離を考えると(東海道本線で考えると、東京駅から名古屋駅の手前くらいまでの距離)、本問は国鉄運賃を念頭に置いていると思われます。
 現在におけるJR東日本の運賃規則は以下の通り (a =16.2, b = 12.85)であり、同じ距離乗車した際の運賃は約5000円となり、当時との物価の違いを感じさせます。

JR 東日本のHPより

数学的には余り見どころはありませんが、何となく歴史を感じる一問だったので紹介してみました。

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

国鉄運賃と大学入試 (1966年 東大 文理共通)」に2件のコメントがあります

  1. まだ大学進学が定番レールになる前だったのでしょうか、文化的な問題で面白いですね。

    得意な方からするとaから行った方が早いというのも流石と言いますか。

    こうした応用数学や数学の歴史を眺めるのは楽しいのでいいですね~(*´ω`)

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  2. 当時の大学入試事情、一度見てみたいものです。

    自分も最初はbを消して失敗した結果、aに戻ってきたのでこの辺は試行錯誤の重要性を感じます。

    現役を離れて眺める入試問題はまた一興…( ˘ω˘ )

    いいね: 1人

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