素数と素因数分解 (2020年 名古屋大 理系 数学第2問)

 最近は化学と数学の間を行ったり来たりしていますが、今回は今年の名古屋大・理系数学から整数問題を取り上げます。

(背景): 素数と整数問題

 本題は素数の性質が重要となる一問です。素数は「1より大きく、1と自分自身以外に約数を持たない整数」全体を指し、整数問題では超頻出です。素数には興味深い性質が多く存在しますが、基本的に大学入試で使うのは以下の3つの事実です。

①偶数の素数は2のみ
②整数a, b及び素数pに対してab=pならば、(a, b) = (±1, ±p) or (±p, ±1) (複号同順)
③異なる素数p, qに対してある整数がN=pqと表現される場合、Nの素因数はpとqのみ。

 いずれも、素数の定義を考えれば至極当たり前なのですが、これらは整数問題を考えるうえで非常に強力な制約となります。入試問題の場合、無意味に素数が設定されることはありませんので、何とか①-③の性質を利用できないかと考えます。

 なお、本問におけるmはあくまでも定数です。いろいろな文字が登場するので混乱しないように注意が必要です。

(1)の解答


 (1)は特に素数に関する条件は使いません。a = 2, m2+1, m4+1それぞれについて、不等式の両辺の差を取って評価しても良いですが、2< m2+1 < m4+1という大小関係を利用することで計算量を抑えることが出来ます。本問は特に難しい箇所はありません。

(2)の解答

 (2)における最大のポイントは、与えられた等式についてその両辺が共に因数分解された状態であることです。特に右辺は3つの素数(2, m2+1, m4+1)で与えられており、これ以上は素因数分解できないことを示しています(冒頭の特性③の拡張版と言えます)。

 従って、右辺の因数であるx+y及びx2+2y2+2xyはいずれも素因数を持つならば2, m2+1, m4+1のどれかであり、しかも重複は許されません。

 この事実に気付いてしまえば本問は解けたも同然であり、あとはそれぞれの因数の大小関係を利用しながら場合分けを行うことでx, yの値を決定します。この際(1)の結果を利用する事で場合分けの手間を少し減らせますが、利用しなかったとしてもそれほど計算量は変わりません。

 上記の解答では(1)の誘導を利用する為一旦 z = x+yと置いていますが、本問を解答するだけであればこの置き換えは不要です。

コメント

 全体としては素数の性質や素因数分解を利用した上で、丁寧な場合分けが要求される実力差が反映されやすい良問と言えます。一方で(1)と(2)の関連が今一つ分かりづらく、(2)において(1)の不等式の利用に拘り過ぎると思わぬ苦戦を強いられることになったかもしれません。

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

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