微分の定義と関数方程式 (1989年 東工大)

 
 今回は1989年の東工大入試から関数方程式をピックアップします。上記のようなタイプの問題は出題頻度こそ高くありませんが、いざ出題された場合に類題経験の有無が非常に大きな差となります。

 本問のようなタイプの問題では「導関数の定義と与えられた方程式から、f(x)に関する微分方程式を導出してf(x)を決定する」ことが一つの定石となっています。

 なお、本問は色々と定義が曖昧な部分がありますが「f(x)は実数xに対して定義され、実数値を取る関数」と考えて解答します。

解答

(1)の解答

 
 「x=0でf(x)は微分可能」という条件を後で利用する事を見越し、とりあえずf(0)の値を考えます。このタイプの関数方程式ではx, yの一方或いは両方に0を代入すると上手くいくことが多いですが、今回はf(0)=0の場合とf(x)=-1の場合分けが生じます。

 f(x) = -1の時は問題ありませんが、f(0)=0の場合においてf(x)の微分可能性を示すためには、微分の定義に基づいて導関数f'(x)を求める必要があります。

 この際 f(x+h) の部分に等式(*)を適用して変形することで、f'(0)及びf(x)を用いて導関数f'(x)を表すことが出来ます。この際、f(x)がx=0において微分可能でないとf'(x)が決定出来ずにf(x)が微分可能であるとは言えなくなります。

 ここで得られたf'(x)とf(x)の関係式(= 微分方程式)は、(2)でf(x)の具体的な形を求める為に利用することになります。

(2)の解答

 
 (1)で得られた微分方程式からf(x)の具体的な形を決定します。

 等式(**)はいわゆる「変数分離型」と呼ばれる微分方程式で、当時は良く出題されていましたが現在では履修範囲外と思われます(自信はありません)。

 要は両辺をz(とdz)の式とx(とdx)の式に「分離」してそのまま積分をすれば良いわけですが、z+1で両辺を割る前にz=-1となる可能性について議論する必要があります。

 結局f(0) = 0ならば f(x)≠-1であることから、両辺をz+1で割っても問題ありません。以降は積分と式変形によってf(x) = ±ekx-1となる訳ですが、最後に元の関数方程式(*)を満たすことを確認してf(x) = ekx-1 (k: 実数)を得ます。

 実は以下のように、実際に代入せずともf(x) = -ekx-1の場合は除外できます。所要時間は殆ど変わらないので、好きな解法を採用すれば大丈夫です。

 最後にf(x) = -1の場合について言及すれば本問は完了です。f(x) = -1は f(x) =ekx-1についてk → -∞ とした特殊形と見なせるかもしれません。

コメント

 本問は関数方程式の問題としては誘導が少なく、更に場合分けが生じるなど難易度は高めの部類に入ります。逆にこのレベルの問題を難なくこなせるようになれば、後は怖い物なしです。

 

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

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