放射性同位体と年代測定 (2006年 東京医科歯科大)

 
 炭素は動植物を構成する重要元素の1つであり、その放射性同位体である14Cの含量を測定する事で動植物の化石などについて年代測定を行うことが出来ます。これは14Cが他の安定同位体(12C、13C)と異なり、長い年月をかけて別の核種へと崩壊してゆく性質を利用したもので、大学入試でも稀に取り上げられます。

 放射性同位体濃度の時間依存性や半減期の扱いについては類題経験の有無が出来や所要時間に直結するので、一度は今回のような問題に触れておくことが推奨されます。なお、対数値に関しては以下の通り与えられるものとします。

問8: 8つ 問9: 4つ 問10: 放射性同位体(ラジオアイソトープ)

 問8から問10までは、同位体に関する基本的な知識問題です。式(1)及び式(2)に記されている表記から14Cにおける原子番号は6、質量数は14となります。

 質量数は原子核に含まれる陽子数と中性子数の和、原子番号は原子核中の陽子数に対応するので、14Cの中性子数は8つであると分かります。また原子における電子と陽子の数は等しいため14Cは6つの電子を持ち、このうち2つがK殻、残り4つが最外殻であるL殻に入るので最外殻電子は4つとなります。

 また、炭素14Cのように時間と共に原子核が崩壊して何らかの放射線(14Cならばβ線)を放出する同位体は放射性同位体(ラジオアイソトープ)と呼ばれ、年代測定、医療検査、原子力発電など様々な用途で利用される一方で、放射能汚染による問題など総じて扱いに注意を要します。

問11: (c)

 問題文で与えられた式(3)及び注2より、14C含有量([14C])は時刻(t)の関数として以下に示す赤枠内の形で表現されます。


 従って14C含有量は時刻に対して指数関数的に減少する為、直線グラフとなっているb, d, fはこの段階で除外されます。そして問題文より14Cの半減期は約5730年であることから、t = 5730(年)のときに[14C] = 0.5C0となっているグラフを選べばよいので、正答はcのグラフになります。

問12: 0.69 (計算式は以下の通り)


 半減期の定義に従って代入及び式変形を行うだけの計算問題ですが、loge2の値は問題文で与えられていない為、底の変換公式などを駆使して与えられている対数値から自力で計算する必要があります。

問13: 2.9 x 103 年前

 
 問12の結果と半減期の値から速度定数を決定出来る為、以降は与えられた14C含有量に対する年代測定が可能になります。本問では[14C] = 0.7C0となる時刻Tを求めるわけですが、上記のように底の変換公式を最大限利用する事で計算を簡略化できます。

 問題文で与えられている対数の値が有効数字2桁ですので、最終的な解は有効数字2桁で解答する必要があります。

コメント

 問8~問10までは基本的であり落とせません。一方で問11以降は問題文を読みながら微分方程式を解き代入計算を行いますが、微分方程式の解き方は問題文中にヒントが与えられており、以降の計算もそれ程複雑ではありません。

 医科歯科の問題としては解き易い部類に入ると思いますが、初めて解く受験生は式変形に手間取ることも予想されます。従って類題経験の有無によって所要時間に差が生じたのではないかと考えられます。

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

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