数列の極限と区分求積法 (1988年/1968年 東工大)

 大学入試において無限級数の和を求める必要が生じた場合、その大部分は以下の3通りの解法或いはその組み合わせによって解決します。

① 部分和を具体的に計算して、その極限値を取る (無限等比級数など)
② はさみうちの原理を利用する (何らかの誘導が与えられることが多い)
③ 区分求積法を利用する (ノーヒントの場合が多い)

 このうち、今回取り上げるのは③のパターンです。詳細は割愛しますが、区分求積法とは定積分の原理にも関わる公式で、以下ように表現されます。


 特定の場合を除いて左辺の部分和を直接計算する事は困難ですが、右辺の定積分は計算可能である事が多く非常に強力な手法です。Σとk/nを含んだ形など、左辺に対応する式が分かり易く提示されている場合は上記の公式をそのまま適用すればよいのですが、難関大などでは一工夫必要な場合が殆どです。

1988年 東京工業大学


 上記の極限にはΣもk/nも無いため、一見すると区分求積法とは無縁に見えます。とりあえず二項係数の定義に従って与えられた数列を変形するも直接極限を求めることは困難であり、はさみうちの原理も使えそうにありません。

解答


 与えられた数列をanとして二項係数の定義(解答青枠内)に従って式変形を行うと、括弧内はnの式の積として表現されることが分かります。

 このままでは手詰まりですが、log(an)を考えることで「積→和」の変換が起こり、一気に区分求積法が利用できる形となります。log(an)の極限を区分求積法で求めた後は、an = elog(an) に注意して元々の極限を求めます(意外と忘れやすいので注意)。

 このように1/n乗、二項係数、階乗、順列などが複雑に絡んだ式の極限は「対数を取って区分求積法」が定石となっており、区分求積法を見据えた式変形が要求されます。本問のようにノーヒントである事が多く、類題経験の有無が極めて重要なタイプの問題であると言えます。

1968年 東京工業大学


 先の問題と似たような形をしていますが、1/nがくっついている為いきなり対数を取っても区分求積法に持ち込めません。

解答


 n = (nn)1/n と見ることによって、先頭の1/nを無理やりn乗根の式の中に入れてしまえば、後は前問同様に対数を取ることで区分求積法に持ち込むことが出来ます。前問にも言える事ですが、「どうすれば区分求積法に繋げることが出来るか」という考えを持って式変形を行う事が重要になります。

コメント

 今回のタイプの問題は単独で出題されることはそれほど多くありませんが、二項係数や順列を含む形であるので、確率や場合の数との複合問題として出題されることもあります。いずれにせよ「知らないと解けないが、知っていれば短時間で解ける」タイプの典型なので、何問か練習しておくことをお勧めします。

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

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