図形的解釈の重要性① (1997年 京大・理系前期)

 
 最終的な目標は(2)の不等式を示す事ですが、(1)の不等式がヒントとなっているのは明確です。問題となるのは(1)の証明ですが、定積分絡みの不等式が出題された場合、図形の面積と絡めて考える事で上手くいく場合があります。

(1)の解答


 両辺とも見るからに複雑な形をした不等式です。左辺の定積分を解いて定積分を含まない式に変形する事は可能ですが、恐らく与式は更に複雑となりそこでギブアップとなるでしょう。

 そこで、左辺の定積分を解かずに面積として解釈すると上の青色で示した箇所の面積の和である事が分かります。これを踏まえて右辺も図形的に解釈しようとすると、上図赤色で示した2つの台形の和に相当することが見えてきます(α = 0 の場合は三角形ですが)。y = sinxのグラフから両者の面積の大小関係は明白なので、複雑な見た目に反して殆ど計算を行うことなく証明が完了します。

 本問は図形的に解釈出来れば5分程度で完答できますが、数式に拘った場合時間がいくらあっても証明は困難でしょう。そういった意味では実力の差が出やすい問題であると言えます。

(2)の解答


 上の解答だけ見ると④~⑦の不等式が唐突に感じられますが、実際には以下の通り y = sinx (0≦ x≦ π)とx軸で囲まれた領域を8分割して考えています。


 すなわち上図青色の箇所の面積を8つの領域に分割後、それそれについて(1)と同様に対応する台形の面積による不等式評価を行った訳です(上図の番号と解答の不等式の番号は対応しています)。最後にそれぞれの不等式を足し上げることで、上図の青色全体の面積が赤色全体の面積より大きい事が分かり、示すべき不等式の証明に繋がります。

 本問の証明は(1)の不等式を利用するわけですが、どのような値を代入するべきかと考える上で、やはり図形的解釈の重要性が問われます。

コメント

 与えられた不等式を図形的に解釈出来れば非常に綺麗かつ短時間で解決する一方、数値計算に拘ってしまうと時間がいくらあっても足りません。本問のようなタイプの問題を解くにあたっては、日頃より定積分や他の数式を図形的に解釈する感覚を磨いておくことが大切であり、その為には数多くの問題演習を行うことが不可欠となります。

 

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

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