図形的解釈の重要性② (1991年 京大・理系)


 前回に引き続き京大入試から不等式の証明問題ですが、今回は誘導などが無いため方針を全て自力で立てる必要があります。本問も強引な式変形による方針を取ると泥沼に嵌るタイプの問題であり、不等式を図形的に見ることの重要性が問われます。

 今回のキーポイントはグラフの凹凸です。

解答

 a = bと a ≠ bの場合を同時に議論すると煩雑になるため、まずはa=bの場合を考えますが、この時はいずれの不等式でも等号が成立する為特に問題はありません。続いて a ≠ bの場合ですが、与えられた式はいずれもa, bに関して対称である事から a < bの場合を示せば十分です(これにより、以降の議論が楽になります)。

右側の不等式の証明


 y = tan x のグラフは与えられた区間において単調増加かつ下に凸である為(明らかですが、一応微分により確認しています)、下に凸な関数の定義より区間内の異なる2点を結んだ線分は端点を除いてグラフの上側に存在します。

 よってx座標がa, bである y = tanx上の2点を結んだ線分は y = tanxのグラフより上側にあり、この線分の中点のy座標を考えることで右側の不等式を殆ど計算することなく証明することが出来ます。

左側の不等式の証明


 左側の不等式は一見すると右側とは異質に見えますが、両方の式の対数を取ることで右側と同じような議論が可能になります(但し a = 0の場合は左辺が0となる為対数が取れない為、個別に議論する必要があります)。

 そこで y = tanxの代わりに対数を取った y = log(tanx)を考えますが、二回微分を計算することによりこのグラフは区間内で常に上に凸であることが分かります。従って先程とは逆に区間内の異なる2点を結んだ線分は、端点以外グラフの下側に存在する事が分かります。以降は右側と殆ど同様の流れで左側の不等式も証明できます。

コメント

 今回はノーヒントであった為、不等式を図形的に解釈出来なかった受験生にとっては厳しい問題です。また右側の不等式についてはは関数の設定が容易ですが左側は対数を取るなど一工夫が必要であり、得点及び解答時間の両面において差が付きやすいのではないかと思われます。

 本問のように上に凸或いは下に凸なグラフと線分の位置関係を利用した不等式証明は京大に限らず時々出題されることがある為、その流れを理解する事は非常に有益です。

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

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