ジェネリック東大入試 (2010年 大分大学・医)


  2003年の東大入試で出題された「円周率は3.05より大きい事を証明せよ」という問題は、当時の「ゆとり教育」に対する世相も相まって、恐らく日本一有名な大学入試問題では無いかと思います。この問題には実に様々なアプローチがありますが、最も一般的なアプローチは「円に内接する正多角形を考え、面積或いは周長を比較する」というものでした。

 時は流れて2010年、大分大学医学部にて「ジェネリック東大入試」とも言うべき円周率評価に関する不等式証明が出題されました。東大入試と異なり上側からの評価も要求されていますが、先述の東大入試問題に触れていた受験生であれば方針設定に迷うことはなかったと思われます。

左側の不等式


 円に内接する正二十四角形を考え面積の大小関係を比較する事で、求める不等式を得ることが出来ます。3√6 – 3√2のおよその値は3.10…であることから2003年の東大入試の結果を内包しており、実際に当時の東大入試においても外周長を利用する手法と並び有名な解法の1つです。

右側の不等式


 こちらは東大入試に無かった円周率の上側からの評価ですが、円に外接する正多角形を考えればよい事はすぐに思いつくでしょう。但し先程と同様に正24角形を持ち出すと面積にせよ周長にせよtan7.5°が登場してしまい、計算が大変な上に求める不等式に辿り着けそうもありません。

 そこで一段階評価を甘くした正12角形を考えてみると、対応する面積は12tan15°となり求めるべき不等式に到達します。24-12√3を電卓で計算すると3.21…となっており、正24角形を使わなかった分下側よりは甘い評価となっています。なお円に外接する正12角形の周長は図より24tan15°なので、外周長を利用した解法でも全く同様の結論を得ることが出来ます。

別解

 上記の解答を見た後での後付け感は否めませんが、0 < x < π/2 の時 sinx < x < tanxであることを微分によって証明し、 x = π/12 を代入する事によっても全く同じ結論を得ることが出来ます。

コメント

 東大入試と比べて与えられている値が具体的な為解法の幅は限られており、適切な正多角形とアプローチを選択しないと二度手間になる恐れがあります。とはいえ√2, √3, √6などを小数で評価する必要が無いため計算量は非常に少なく、試行錯誤を含めても10分程度で完答したい所です。

 2010年の受験生は円周率騒動の頃まさに小学生であり、件の東大入試についても大多数が知っていたと思われます。そうした意味で本問は非常に取り組みやすい問題だったのではないでしょうか。

 

 

 

 

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

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