式変形に潜む罠 (2020年 早稲田大・人間科学)


 非常にシンプルな設問ですが、それゆえに結論を導くための情報が非常に限られており見かけほど簡単ではありません。

 多くの受験生はαとβの関係性を探ろうと、与えられた等式に対して色々な式変形を試したものと思われます。三角関数絡みの多くの問題においてそれは正攻法なのですが、今回のケースでは完全に大学の術中です。

解答


 与えられた式を「そのままの形」で眺めていると、正弦の値域から左辺の第一項及び第二項はいずれも1より大きな値を取ることが出来ないことが分かります。即ち与えられた等式が成り立つ条件は第一項及び第二項が共に1となる時に限られ、ここから「sinα = sin2β = -1」という極めて重要な情報を得ることが出来ます。

 ここまで来てしまえば9割解決したと言っても過言では無く、あとは条件を満たす角α、βを一般角の範囲で表現して|α+β-8π|の最小値を求めるだけです。

 今回は(α, β) = (11π/2, 11π/4)のケースを例としていますが、条件を満たす(α, β)の組は無数に存在します。

コメント

 問題によっては与えられた等式や不等式の形が重要な意味を持っており、むやみに式変形をしてしまうと収拾がつかなくなる場合があります。今回の問題はそうしたパターンの筆頭といえ「なぜこの形の等式が与えられているのか?」と考えることで、最終的な解に辿り着くことが出来ます。

 とはいえそれはあくまで解法に辿りついた上での結果論であり、試験場ではある程度の試行錯誤は免れないでしょう。それでも最終的に答えに辿り着ければいいのですが、時間を浪費して結局解答もできずというパターンも十分あり得る話であり、設問のシンプルさと相まって非常に厄介な内容です。

 

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

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