正二十面体を考える (2017年 京都府立医科大・改題)


 正二十面体の体積という興味深い題材を扱っている本問ですが、問題文中に図が存在しないため正二十面体の概形を自力でイメージする必要があります。

 大学入試ではなじみの薄い空間幾何分野の問題も含まれており、類題経験の無い受験生にとっては誘導付きとはいえ厳しい内容と言えます。

 原題では(5)に続く小問として(6)が存在していましたが、今回は正二十面体の体積がテーマという事で省略しています。

(1)の解答


 正二十面体の面、辺及び頂点に関する設問であり、正二十面体の概形をある程度正確にイメージする必要があります。

 (2)以降とは独立した内容となっているため飛ばすことも可能ですが、正二十面体の概形がある程度イメージできない限り根本的な解決とはなりません。

(2)の解答


 空間における異なる二直線の位置関係は「平行」「交わる」「ねじれの位置」の3通りであり、このうち「ねじれの位置」以外の関係にある二直線はある平面に対して同一平面上に置くことが出来ます。

 今回のケースでは正二十面体Xの外接球Qの中心Oとすると、2つの線分ACとBDはOを交点として持つため交わっています。従って互いに交わる二線分の両端であるA, B, C, Dは同一平面上に存在しなければなりません。

 更にQ上の4点A, B, C, DについてACとBDがQの中心Oで交わるという事は、ACとBDの長さは等しくかつ互いの中点で交わる事を意味しています。これは四角形ABCDが対角線の長さが等しい平行四辺形、すなわち長方形であることと同義です。

 大学入試では珍しく純粋な幾何学に関する出題であり、本問における山場であったかもしれません。

(3)及び(4)の解答


 正二十面体の形状を把握していれば、線分ADは1辺の長さが2である正五角形の対角線に相当する事が分かります。正五角形の対角線は大学入試でも超頻出であり、様々なアプローチがありますが、今回はcos36°の値を直接求める解法を取っています。このほかにも補助線を引いて相似を利用する解法などもあります。

 線分ADの長さが分かってしまえば、長方形ABCDの対角線の長さは三平方の定理から簡単に決定出来ます。外接球Qの半径rはこの対角線の丁度半分の長さであるので、あとは球の表面積の公式「S = 4πr2」を利用するだけです。

(5)の解答


 正二十面体XはOを頂点として各面を底面とする20個の合同な正三角錐に分割することが出来ます。この事に気が付いてしまえば、これまでの結果から正三角錐の各辺の長さは与えられている為、後は定石通り頂点から底面に垂線を下ろし体積を計算するだけです。

コメント

 大学入試ではなじみの薄い幾何絡みの問題も含まれており、類題経験の無い受験生にとっては誘導付きとはいえ厳しい内容と言えます。

 それでも空間及び平面幾何に関するセンスが要求される(2)さえクリアしてしまえば、残りは典型的な内容である為それほど難しくありません。最悪(1)と(2)を飛ばして、(3)以降から解き始めて部分点を狙うのも一つの手かもしれません。

 なお、正二十面体の体積を求めるというコンセプトの問題は2016年の順天堂大(医)でも出題されています。アプローチはやや異なりますが正二十面体を20個の正三角錐に分割するという方針は同じであり、医学部つながりで当該問題を解いた事のある受験生にとっては有利に働いたと思われます。


 

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

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