バーゼル問題の初等的解法 (2020年 慶応大・医)


 平方数全ての逆数和が収束する事は古くより知られていましたが、具体的にどのような値に収束するのか疑問は1644年に提起されて以降、長らく未解決でした。

 この疑問は提起から凡そ100年後の1735年にレオンハルト・オイラーによって解決され、彼の出身地から「バーゼル問題」と呼ばれています。オイラーが提示した証明法はマクローリン展開など、いわゆる大学数学を利用したものでしたが、現在では初等的な証明法(高校数学のみによる証明法)も幾つか知られています。

 本問はこのバーゼル問題を背景とした内容となっており、数学史上における難題の証明を上手く大学入試に落とし込んでいます。

解答

(1)の解答


 特に難しい部分はありませんが、本問の結果を以降の設問で繰り返し利用する事になる為、ケアレスミスだけは許されません。

(2)の解答

(い)~(え)


 (い)に関しては代入計算を行うだけですが、(う)及び(え)に関しては和の順番を上手く組み替えた上で(1)の結論を利用する必要があります。S3を求める過程では直前に求めたS2の値を利用する事で計算量を減らすことが可能であり、この考え方が次の設問で重要となります。

(お)


 (う)及び(え)の時と同様に(1)を適用する為に二項ずつ纏めることでSn+1とSnに関する漸化式を導くことが出来ます。(う)や(え)を解く段階で漸化式の予想が出来た場合は、空欄補充式である本問の特徴を生かして解答時間を短縮する事も可能です。

(か)


 二項間漸化式に関する教科書レベルの計算問題であり、前問まで解答できた受験生にとってはサービス問題と言えます。折角なのでn = 2, 3の場合についても代入計算を行い、(う)及び(え)に関する検算を行うと良いでしょう。

(き)


 関数f(x)とg(x)の関係性は三角関数における以下の関係式により即座に導くことが可能です。

\(\displaystyle\frac{1}{\tan^{2}{x}}+1=\displaystyle\frac{1}{\sin^{2}{x}}\)

 上記公式は三角関数における第4の相互関係としての導出自体は容易であるものの、他の公式と異なり教科書や参考書によっては収録されていない場合があります。上記公式の存在を知らない場合はg(x)をf(x)で表現する着想に自力で至る必要があり、結果として思わぬタイムロスに繋がる危険性があります。

(く)


 これまでの結果と不等式 \(\sin{\theta}<\theta<\tan{\theta}\)を利用したはさみうちの原理に持ち込むことで、平方数の逆数に関する無限級数が \(\displaystyle\frac{\pi^2}{6}\)に収束するというバーゼル問題に対する結論を得る事が出来ます(\(n\Rightarrow\infty\) の時 \(2^{n}-1\Rightarrow\infty\))。

コメント

 慶応医学部の数学という事で長丁場ではありますが、同大学の問題としては比較的解き易い部類に入ります。他の問題との兼ね合いもありますが、最低でも(か)までは押さえておき、願わくばある程度時間を使ってでも完答しておきたい所です。

 またバーゼル問題は非常に有名である事から、結論を知っていた受験生も少なからず存在したと思われます。その場合比較的難度の高い空欄(く)に関する部分が単なる知識問題に化ける為、解答時間の大幅な短縮につながった事と思われます。

投稿者: matsubushi

趣味で数学など

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