連分数と黄金比 (2018年 大分大・医)

 一見すると二項間漸化式の一般項と極限を求めるだけのありふれた問題に見えますが、与えられた漸化式から式変形により一般項を求める事は厳しいように思われます。  このような場合小さい \(n\)に対して\(a_n\)の値を具続きを読む “連分数と黄金比 (2018年 大分大・医)”

バーゼル問題の初等的解法 (2020年 慶応大・医)

 平方数全ての逆数和が収束する事は古くより知られていましたが、具体的にどのような値に収束するのか疑問は1644年に提起されて以降、長らく未解決でした。  この疑問は提起から凡そ100年後の1735年にレオンハルト・オイラ続きを読む “バーゼル問題の初等的解法 (2020年 慶応大・医)”

初手が全て (2003年 京大理系 後期 第4問)

 数列anに関する条件は極めて抽象的であり、一見すると命題を示すことは困難であるように思われます。本問を解く上では与えられた唯一の条件「anの各項は全て正」を使う事となりますが、どのように利用するかがカギとなります。  続きを読む “初手が全て (2003年 京大理系 後期 第4問)”

素数であるという事 (2021年 東京学芸大)

 素数絡みの整数問題は大学入試において頻出であり、本問もそうした問題の一つです。n, kと2つの文字について同時に考える必要がある上に誘導も無い為、素数や整数に対する実戦経験がものを言います。 解答  自然数n, kに対続きを読む “素数であるという事 (2021年 東京学芸大)”

乾燥耐性とトレハロース合成 (2021年 東大生物 第1問-II)

 今年の東大生物第1問の前半はクマムシの乾眠と遺伝子に関する話題でしたが(参照: https://wp.me/pbB1S2-O7)、後半も引き続き多細胞生物の乾燥耐性がキーワードとなっています。  扱う生物はクマムシから続きを読む “乾燥耐性とトレハロース合成 (2021年 東大生物 第1問-II)”

強いクマムシと弱いクマムシ (2021年 東大生物・第一問-I)

    クマムシとは緩歩動物門に属する生物の総称であり、これまでに1000を超える種が陸上・水中問わず報告されています。名前に「ムシ」とついていますが、節足動物と比較すると原始的であり、回虫や蟯虫といった線形動物に近いよ続きを読む “強いクマムシと弱いクマムシ (2021年 東大生物・第一問-I)”

正四面体と電流 (1999年 東大理系 第3問)

 正四面体の隣り合う二点間で電流が流れるか否かという趣旨の問題です。電流と言われると少し特殊な雰囲気が漂いますが、実質的には道路の通行止め問題と同じように考える事が可能です。 (1)の解答 ①辺ABが電流を通す場合 残り続きを読む “正四面体と電流 (1999年 東大理系 第3問)”

微生物の殺菌法 (2021年 東京医科歯科大)

 医科歯科の化学、とりわけ有機分野は大学の独自色が強く出る傾向にあり、その多くは医療に絡めた内容となっています。  今年の医科歯科の有機化学は微生物の滅菌に関する出題となっており、去年から今年にかけて大流行した新型コロナ続きを読む “微生物の殺菌法 (2021年 東京医科歯科大)”

オゾン分解産物の行方 (2021年 東大化学 第一問-I)

 今年も東大化学の第一問は有機分野からの出題であり、例年通り2つの独立したパートから構成されています。前半部分は分子式C6H12Oで与えられる6つの構造異性体に関連した構造決定の問題です。  与えられた分子式より不飽和度続きを読む “オゾン分解産物の行方 (2021年 東大化学 第一問-I)”